後立山北部 朝日岳(2417.9m)、イブリ山(1791m)、雪倉岳(2610.9m)、白馬岳(2932.3m)、小蓮華山(2766m)、 2016年7月23日〜25日  カウント:画像読み出し不能

所要時間
7/23
4:12 蓮華温泉−−4:48 兵馬ノ平−−5:17 瀬戸川−−6:20 白高地沢−−7:40 1753.7m三角点(休憩) 7:57−−8:30 青ザク−−10:09 県境稜線(休憩) 10:46−−11:22 朝日岳 11:24−−12:02 朝日小屋(休憩) 15:07−−15:55 イブリ山−−17:26 朝日小屋(幕営)

7/24
4:03 朝日小屋−−4:09 水平道入口−−5:15 縦走路合流−−5:31 小桜ヶ原−−5:48 燕岩−−6:26 標高2180m(休憩) 6:38−−7:52 雪倉岳(休憩) 8:11−−8:29 雪倉岳避難小屋−−9:13 鉱山道分岐−−10:02 三国境(休憩) 10:19−−10:57 馬岳(休憩) 11:14−−11:16 雷鳥に遭遇 11:18−−11:38 三国境(休憩) 12:01−−12:38 濃蓮華山直下で雷鳥に遭遇 12:48−−12:50 小蓮華山−−13:22 船越ノ頭−−13:48 白馬大池(幕営)

7/25
4:07 白馬大池−−4:41 天狗の庭−−5:31 蓮華温泉


場所長野県北安曇郡小谷村
新潟県糸魚川市
富山県下新川郡朝日町
年月日2016年7月23日〜25日 2泊3日幕営
天候1日目:曇り時々晴れ後霧  2日目:霧後晴後霧時々晴  3日目:霧後曇
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場蓮華温泉手前に駐車場あり。金曜夜で8割の入り
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望どこの山頂も開ける
GPSトラックログ
(GPX形式)
1日目(蓮華温泉〜朝日岳〜朝日小屋〜イブリ山往復)
2日目(朝日小屋〜雪倉岳〜三国境〜白馬岳〜三国境〜白馬大池)
3日目(白馬大池〜蓮華温泉)
コメント久しぶりの幕営で蓮華温泉を起点に朝日岳、雪倉岳、白馬岳、小蓮華山と反時計回りに周回。おまけにイブリ山を往復。基本的に天候は良かったがガスがかかっている時間が長く、展望はあまり楽しめなかった。初日よりも2日目の方がきつかったような。


地図クリックで等倍表示
1日目ルート断面図(蓮華温泉〜朝日岳〜朝日小屋〜イブリ山往復)
2日目ルート断面図(朝日小屋〜雪倉岳〜三国境〜白馬岳〜三国境〜白馬大池)
3日目ルート断面図(白馬大池〜蓮華温泉)


蓮華温泉駐車場を出発 キャンプ場までは林道歩き
キャンプ場から木道の登山道 左は鉱山道方面
稜線は晴れているようだ 兵馬ノ平
瀬戸川にかかる橋 瀬戸川
白高地沢にかかる橋 白高地沢
五輪尾根へと登っていく 尾根に出ると樹林が切れる
五輪高原 1753.6m三角点で休憩
水場 水場
食虫植物のモウセンゴケ 尾根上部は南を巻く
青ザク 1983m標高点下の尾根。「五輪の森」の標識あり
巻道に変わる 沢の横断が多くなる「
樹林が切れる個所が多い
標高1180m付近。最後の水場 吹き上げのコルで大休止
吹き上げのコルから北を見る
吹き上げのコルの案内図 吹き上げのコルの標識
朝日岳に向かう 登山道横に雪渓が残る
朝日岳山頂手前で白馬岳方面縦走路が分岐 朝日岳山頂
朝日岳山頂の360度パノラマ写真
朝日小屋へ向かう 小屋の水源か?
朝日小屋が見えてきた 鞍部が水平道分岐
朝日小屋のテント場。広い 前朝日
テントを張ってからイブリ山に向かう
イブリ山への登山道も樹林が開けた場所が多い 木道
刈り払った直後らしい エンジン式草刈り機がデポされていた
たまに岩場もあり 鞍部から登り返す
イブリ山山頂。標識は「十合目」となっている 朝日小屋に戻る
夕暮れのテント場
暗い時刻に朝日小屋を出発 右の水平道に入る
沢で顔を洗う
朝日岳山頂から直接下ってくる道との合流点 朝日岳山頂から直接下ってくる道との合流点
小桜ヶ原。この先で水を補給 赤男山直下の燕岩
赤男山南鞍部の沢が最後の水場 雪倉岳への登りにかかってガスと樹林を抜けた
県境尾根を外れて東側へ回り込む 朝日岳方面はまだガスの中
雪倉岳山頂までの稜線の様子
清水岳が見えてきた
雪倉岳山頂 雪倉岳山頂から見た白馬岳
雪倉岳から見た西側の展望(クリックで拡大)
雪倉岳から見た南側の展望(クリックで拡大)
雪倉岳から見た朝日岳
すれ違いで雪倉岳へ登る登山者の列 雪倉岳南鞍部の避難小屋
雪倉岳を振り返る 登山道は鉢ヶ岳東を巻く
南から見た鉢ヶ岳。以前はここから山頂往復したような 鉱山道分岐
旭岳方面にガスがかかりだした。白馬岳到着時は山頂はガスってるかなぁ・・・
三国境近くは広大な砂利の斜面が広がる
三国境。荷物をデポして白馬岳往復 白馬岳へ向かう
雪倉岳方面を振り返る もう白馬岳はガスの中か
まもなく山頂というところでガスに突入 白馬岳山頂
山頂付近で雷鳥登場 三国境のデポした荷物を背負って白馬大池へ
三国境から白馬大池方面の縦走路 白い稜線が続く
でかいケルン ここだけ赤茶けた石が広がる
小蓮華山直前で雷鳥親子に遭遇 登山道反対側にも雷鳥親子
小蓮華山山頂。ガスで展望なし たまにガスが切れるが・・・
まだまだ白馬大池方面から上がってくる 船越ノ頭山頂標識
どんどん下っていく 白馬大池が見えてきた
白馬大池。左端が大池山荘
大池山荘 蓮華温泉分岐
大池山荘
小屋前がテント場
翌朝、蓮華温泉へ下山 天狗の庭。樹林が開ける
天狗の庭から見た朝日岳
蓮華温泉まで1時間 尾根を乗り越える個所は「蓮華の森」
登山者カウンタ 露天風呂分岐
蓮華温泉到着 右が下ってきた道
蓮華温泉料金表 露天風呂案内図
周辺図 駐車場到着
駐車場から見た旭岳 ヒワ平展望台入口
ヒワ平展望台から見た朝日岳〜聖山


 今年は珍しく関東甲信地方より北陸地方が先に梅雨明けした。週末の天気も北陸側の方が良さそうなので、久しぶりに後立山最北部に向かうことにした。東京からは蓮華温泉は最果ての地だったが、長野移住前は一般道のみで2時間強で到着できる。

 今回は月曜日に休暇を取って3日間使えるようにしたので、蓮華温泉を起点に周回ルートを取ることに。労力分散の都合から考えて反時計回りとし、初日に朝日小屋で幕営、2日目は白馬大池で幕営し、最終日は下山のみとした。白馬大池での幕営は初めてでどんな場所なのか不明だが、日曜夜の幕営なので混み合うことはまずないだろう。

 金曜夜に蓮華温泉駐車場に到着すると予想外の混雑で8割方が埋まっていたのには驚いた。意外に人気のコースらしい。よく考えてみると関東甲信や東海地方から来る登山客は猿倉が登山口となるなろうが、新潟や東北日本海側に住む人なら蓮華温泉が登山口として最適だ。涼しい車内で仮眠して夜明けと同時スタートだ。最近は残業続きで疲れが溜まり、酒を飲んで爆睡状態だった。

 まだ薄暗い時刻に出発。久しぶりで道を思い出せず、蓮華温泉の建物前から西へと伸びる林道が登山道と分からずにまごついてしまう。この先のキャンプ場までが林道歩きで、そこから登山道が始まる。といってもいきなりの下りだ。朝日岳へのルートは瀬戸川まで標高差約300mも下ることになってもったいないがしょうがない。朝露に濡れた木道はめっぽう滑りやすく2回ほどコケた。

 兵馬ノ平は平坦な湿原で、抜けたところが鉱山道との分岐点。今回は2泊なので鉱山道でショートカットの予定はない。さらに下ると瀬戸川にかかる立派な橋を渡る。ここなら冬でも橋が利用可能だろう。次の高地白沢も立派な鉄製の橋で渡った。ここからようやく五輪高原への登りとなる。

 しばらく樹林帯を登って行くが、やがて湿原に変わる。森林限界にしては高度が低すぎるので単純に湿った土地で樹木が生えないのであろう。好天なら暑そうな場所だが今は曇っていて風が心地いい。標高1753.6m三角点で休憩。既に出発から3時間半が経過している。この時間になると下ってくる人の姿が目立つようになった。

 休憩を終えて出発。標高1770m地点では縦走路から僅かに右側に外れたところに目印が見えたのでザックを下ろして行ってみると水場だった。貴重な水場だと思ったが、この先は県境稜線まで何箇所もの水補給が可能な場所があった。尾根直上を歩く場所には水は無いがこのコースは南斜面をトラバースする個所が多く、何箇所もの沢を横断するのだ。わざわざ下から水を持ち上げる必要はない。

 五輪山から南東に派生する尾根を乗り越える個所には「五輪の森」の標識あり。この付近はやや背の低いシラビソ樹林に覆われて藪は大したことはないし、ここから五輪山まで遠くはないが、上部は酷い藪が待ち受けているのは確実。最後は立ったハイマツだったなぁ。でも今の私なら許容範囲になるのかなぁ。

 いくつも横切る小さな沢で水を飲んだり濡れタオルを洗ったりしながら緩やかに登っていく。時々ガスが切れて青空が広がり日差しが降り注ぐと暑い! 曇っている方が歩く分には助かる。高山植物は開花の真っ盛りで和ませてくれる。最後の沢は標高2180mで県境稜線から標高差60mしかないので、栂海新道を縦走する際には水場として使えそうだ。

 無人の県境稜線に到着し最後の休憩。ここが日本海まで続く栂海新道起点だ。既に夏山シーズンなので縦走している人もいるであろう。登山道から少しだけ外れた長栂山に登ったのが懐かしい。ベンチの上で足を伸ばしてひっくり返っての休憩は気持ちよくて、いつのまにか寝てしまっていた。

 再び大ザックを背負って出発。朝日岳への最後の登りだ。稜線で再び雲の層に突入、ガスが流れて涼しい。この辺りでもまだ雪が残っているが今年は例年に比べて少ないのだろう、登山道上に残雪はなかった。

 朝日岳山頂手前で県境稜線を南下する縦走路が分岐する。私は朝日小屋に向かうので山頂を経由して西へ下る。山頂は晴れていたがすぐ下に雲海が広がって周囲の山は全く見えなかった。まあ、この時刻なので夏の時期は展望が無くて当然だが。

 小屋へは木道を下っていくと再びガスの中へ。小さな沢には黒いホースが伸びていて朝日小屋の水源らしかった。今年は残雪が少なく山は渇水と言われるがここは大丈夫そうだ。小屋まで樹林が開けた尾根が続く。小屋の手前の鞍部で水平道が分岐。明日朝はこちらを歩く予定。

 登り返して朝日小屋到着。ちょうどお昼だった。三角屋根の建物が広場を挟んで2つあるが北側が朝日小屋で南側は白馬管理センター(って何??)。朝日小屋で幕営手続きするとテントは\1000/1人だった。ただしトイレ料金込みなので実質的には値上げというわけではなさそうだ。まだテントは一張りも無し。ゴロゴロした石が無い場所選んで設営。濡れタオルで体を拭いてまずは昼寝。体力を回復させてからイブリ山往復の計画だ。山頂まで標高差400m弱なので往復で2時間程度を見込んでいるから午後3時に出発すれば充分であろう。寝不足に今シーズン初めての幕営で、しかも2泊3日の飯を担いだのでさすがに疲れてすぐに寝てしまった。

 午後3時前に起き出してアタックザックに雨具を入れてイブリ山向けて出発。ガスっているので今後の天気がわからないので雨具は必須だ。テントは増えていたがここは後立山最北端の辺境の地。後立山でも標高は低い山なので登山者数は大町辺りの山々より少なくテント場が満杯になることは考えにくい。ここへの訪問者は蓮華温泉から登る人よりも富山側から登ってくる登山者の方がずっと多いようだったが、この時間ともなるとすれ違う人は少ない。中盤以降は登ってくる人の姿は無くなった。最近登山道を刈り払ったばかりのようでまだ緑の草が登山道上に散乱し、途中にはエンジン式の草刈機がデポしてあった。

 イブリ山への尾根は緩やかな区間が多く登る分には歩きやすそうだった。一部フィックスロープがかかった岩場があったが特に難しい場所ではない。周囲はガスに覆われて尾根の先が見えないので、山頂までどれくらいなのか分からないまま歩いていく。でも鞍部から明瞭な登りに変わり、これを登りきればイブリ山だと分かる。山頂には山名が書かれた山頂標識は無く、代わりに「十合目」と書かれた標識が立っていた。ここまで下ると森林限界を割って樹林帯に覆われて展望がない。

 小屋〜イブリ山まで30分程度かと思っていたが1時間弱かかったので、帰りは1時間半くらいかかりそうだ。相変わらずガスがかかり涼しいのは大助かりだが、おそらく二度と歩くことがない尾根からの展望がゼロで終わったのはちょっと残念だった。

 テント場に戻るとちょっとだけテントが増えたようだが広さの割にはガラガラ状態だった。小屋の混雑状況は不明だが、槍穂などの人気エリアよりは人が少ないであろう。この日は雨が降ることもなくガスで終わってくれた。

 翌朝、上空を見上げるが星が見えずガスがかかっているが、ここは標高2000mちょっとしかないので、稜線の上は雲海を突き抜けて晴れている可能性がある。この界隈は歩いたことがあるので展望がなくても許せるが、どうせなら展望のいい稜線歩きがしたいところだ。

 朝飯を食ってまだ暗い時刻に出発。既に登山道上には明かりが見えている。鞍部で水平道に入り朝日岳を巻いてしまう。ここは微妙なアップダウンがあって意外に時間がかかるが、山頂を登ったり下ったりするよりは体力も時間も消費しないはずだ。当然だが道は明瞭で暗くても迷うことはない。徐々に明るくなってきたがガスがかかっているので晴れているよりは明るくなるのが遅いようだ。

 朝日岳から下ってくる縦走路と合流、県境稜線上のはずだが尾根幅が広く台地上にいるような感じだ。相変わらずガスに巻かれながら進むが涼しいのは助かる。赤男山を巻く区間で湿原帯が登場、小桜ヶ原だ。エアリアマップによるとこの先に水場ありとのことで水を補給することに。2箇所で登山道を小さな沢が横断していて水が得られた。エアリアマップによると赤男山の南鞍部付近でも水が得られるようだが、常時流れているのか確証がないので安全を見越してのことだ。

 前回ここを歩いたのは赤男山に登るためで、燕岩からガレを登って藪区間を最小限にして山頂に立った記憶がある。あれは秋の涼しい時期だったと記憶している。今回は暑いしガスで藪が濡れているだろうし先は長いのでパスだ。

 赤男山を巻き終わって県境稜線が近づくとガスが薄まって青空が見え始めた。どうやら雲海の層を抜けるらしい。赤男山南鞍部から流れを発している沢は水が流れていて、朝日岳方面から白馬へと縦走する場合は、現在はここが最後の水場となる。

 沢からは登りにかかるがまだ県境稜線上ではなく西側斜面を巻きながら高度を上げると、すぐに森林限界を突破して草付きの広大な斜面に変わると同時に高山植物が登場する。朝日小屋からここまで笹やシラビソ樹林だったのとは対照的だ。そしてここでガスも切れて上空は青空だ。ここを境に北側の稜線には雲が絡んでいるが南側は晴れていた。

 登山道は県境稜線上にあるわけではなく、稜線を越えて東斜面に回り込んでそのまま東側を登っていく。途中、少しばかり休憩。小腹が減ったことと晴れのエリアに突入してザックの後にくくりつけていた麦藁帽子の出番がきたためだ。この時間になると朝日小屋泊りの登山者が後続に見られるようになる。こちらは重い幕営装備なので足が遅いので小屋どまりの登山者に追いつかれるのはしょうがない。

 北アルプスらしからぬ広い尾根を上り詰めると雪倉岳山頂。やっと南側の展望が開けて白馬岳が姿を表した。北側から見るのは久しぶりで、右手に見える旭岳はここを最初に歩いたときには槍か剣だと勘違いしていたのを思い出した。当時はまだ本格的にアルプスを登り始めたばかりだったなぁ。今なら山岳同定の精度には自信がある。

 先ほど休憩したので山頂での休憩は短めで切り上げて先に進む。この時刻になると白馬岳方面から北上してくる登山者がぐっと増え、雪倉岳〜避難小屋間ではたくさんの登山者とすれ違った。

 鞍部には頑丈な石垣に周囲を覆われた避難小屋ありだが、残雪がある時期以外は水は無さそうな。造りはしっかりしていたので安心して使えそうだ。

 この先は県境稜線を離れて東側を巻く道が続き、鉢ヶ岳は山頂を通らずに巻いてしまう。ずいぶん前にここは登山道を離れて登り、山頂を踏んでいるので今回はパス。たぶん南側から登ったような記憶があるが、かなり前の話なのでほぼ覚えていない。でも激籔漕ぎの記憶は無いので簡単に登れたのだと思う。

 鉢ヶ岳を巻き終えて鞍部を通過、ここで鉱山道分岐かと思ったら道はなく登り返しが始まる。そして2504m峰手前で鉱山道分岐点が登場した。つい最近、蓮華温泉で刈り払ったとの添え書きあり。1泊2日で蓮華温泉から朝日岳を周回するならここで下山するのが適度だが、今回は3日間の日程なので予定通り先に進む。

 鉢ヶ岳の巻道はハイマツがあったが鉱山道分岐付近より先はハイマツも消えて広大な白い砂礫の斜面が広がるちょっと不思議な光景。尾根は太く残雪期にガスられるとやっかいそうな地形である。もちろん、夏ならば道を外さなければ問題無し。

 やがて三国境に到着。ここが小蓮華山、白馬大池方面分岐だ。まだ時間があるのでここで大ザックをデポして軽装で白馬岳山頂に向かう。ここまでで結構な体力を搾り取られたが、荷が一気に軽くなると足も軽くなった。でも白馬岳山頂は徐々にガスがかかるようになり、私が到着する頃には何も見えなくなっているかもしれない。まあ、どうせ今年は別の機会に白馬岳に登ることがあるだろうから今回は展望についてはいいか。

 高度を上げるととうとうガスの層に突入、でも涼しいのは嬉しい。風も適度に吹いて体を冷やしてくれる。夏山シーズンのこの時刻ではガスっているのが通常状態だろう。偽ピークに見える肩を通過した先が本物の山頂で、大きな山頂標識と数人の人が見えた。そして白馬岳山頂に到着。

 何年ぶりの白馬岳山頂だろうか。いつもなら大雪渓から登ってくるが逆側から登ったのはさらに久しぶり。初めて北側から登ったときもコースは同じようなものだったので、山頂に到着した時刻は同じくらいで熱雲が上がってきてガスで展望はなかった。朝と違って山頂到着には半端な時間であり登山者は数人しかない。やはり登るなら早朝に限るが、コース選択によってはそれは無理な話である。

 展望もないので少し休んで出発。下った直後に登山道に立ち止まって斜面を見る数人の登山者あり。こんな場合は雷鳥が原因であることが多いが今回もそのとおり。ちょっと遠くて20mくらい離れていたが写真撮影可能だった。

 三国境に戻って大ザックを背負って白馬大池に向かう。既にお昼過ぎだがすれ違う登山者数はまだまだ多い。小蓮華山への稜線もガスに巻かれて視界はないが歩く分には涼しくていい。尾根上はハイマツさえほとんどなくて荒涼とした白い砂利の斜面が広がる。一箇所だけ赤茶けた色の岩肌があったが火山活動の影響だろうか。

 ガスで先の地形が見えないので小蓮華山までの距離感も掴めず黙々と歩くのみ。しかし山頂直前でサプライズが登場。今回2回目の雷鳥だ。母親と4羽の雛。しかも今度は登山道から5mくらと近く、じっくりと鑑賞可能だった。そのうちに雛の一羽が登山道に出てきて反対側に横断。そのすぐ後に後続の単独男性が上がってきたので雷鳥がいると声をかけた。まあ、親も登山道縁にいたので言わずとも気付いたとは思うが。男性が立ち止まると雛は急いで登山道を横断して母親のところへ。雷鳥親子は我々から適度な距離を保ちつつ斜面を放浪していた。ガスっているので天敵に襲われる心配も無いのだろう。親子がいるのは登山道の谷側だったが、よく見ると山側にも雷鳥がいるではないか。私のところからは見えなかったが男性のところからは雛を連れているのが見えるそうで、珍しくも2組の親子を同時に眺めることができた。

 充分に雷鳥鑑賞を楽しんだ後で出発。すぐに小蓮華山山頂に到着したが、雷鳥を見ながら休憩をしたので写真だけ撮影して先に進む。山頂もガスに覆われて展望はなかった。前回来た時と同じだなぁ。

 ガスで尾根の様子が見えないが、もうこの先は大きな登りはないはずだ。船越ノ頭へ向けてなだらかな尾根を進んでいく。まだまだ登って来る登山者がいるが、白馬山荘到着時刻は結構遅くなるのでは? また、ガスっているので天気の推移も心配だ。雷が来なければいいが。ここは立ち木皆無で隠れる場所はないので雷雨が来たら最悪だ。

 登山道は尾根直上だったり微妙に巻いたりするが、北側を巻くところでピークに何か標識らしき物があることに気付いて登ってみると「船越ノ頭」と書かれていた。船越ノ頭は残雪期に登っているがこんな場所だったかなぁ。ガスで周囲の地形が見えないので判断できなかったが、帰ってからGPSの軌跡で確認すると山名事典の山頂とは別のピークだった。でも一般的にはここを船越ノ頭としているようで、標高もどちらも同じようなものなのでどちらでも問題なかろう。

 2日目の行程も結構長くアップダウンがあってかなり足が疲れた。登りがないだけマシだが下りでもかなりきつい。今シーズン初めての幕営装備を背負ったので普段の日帰りに慣れた足でいきなり2泊はちと無謀だったかもしれない。今日は素直に白馬大池で幕営しよう。

 下り斜面でまた雷鳥がいないかとキョロキョロしながら歩いたが見つけることはできなかった。でも小蓮華山直下で一緒に雷鳥を見た登山者の話しではここでも雷鳥が出たとのこと。しかも人に慣れて数mの距離でも全く逃げず何人もの登山者の目の前で愛嬌を振りまいてくれたそうだ。ちなみにこの下り坂は「雷鳥坂」と名前がついていて雷鳥が多く存在するようだ。立山室道の雷鳥沢も雷鳥が多かったが、雷鳥と名前が付く場所では雷鳥に会える確率が高そうだ。

 高度が落ちるとようやくガスの層を抜けて視界が開け白馬大池の水面が見えてきた。前回来たときはまだ雪に覆われていたが今は雪のかけらもない。湖畔の大池山荘前にはカラフルなテントが見えているが、今日は日曜日なので満杯になることはないだろう。湖のすぐ辺には大型テントがいくつか見えた。

 やっと下りが終わって水平移動で足が楽になる。石ゴロゴロで歩きにくい広い道を進むと大池山荘到着。疲れたぁ。日曜午後だがまだ人の数が多く、小蓮華山方向からまだまだ下ってくる。そして小屋前で休憩して蓮華温泉方面へと下っていく人の姿が多い。これから下ると蓮華温泉着は夕方になるのではないか。ご苦労様。

 小屋で幕営の手続き。ここも幕営料金はトイレ使用料込みで\1000/1人だった。最近の北アはこの料金に統一したのかもしれない。以前と違ってわざわざトイレ使用料として100円硬貨を準備しなくていいのでこちらとしても助かる。

 テント場の一番端にテント設営。トイレにそこそこ近いので便利だ。水は沢水を引いているのかと思ったら水を貯めたでかいタンクで供給する方式で、どうやら池の水を処理して使用しているようだ。よって無駄に使うわけにはいかず、汗臭くなったタオルを洗うことはできなかった。残念。でも水は無料で使えるので大助かりだ。なお、トイレの手洗い用の水は未処理の水らしかった。

 明日は月曜日なのでテント数はあまり増えることもなかったが、予想よりはずっと多く20張くらいはあったのではなかろうか。湖岸の大型テントはどこかの学校か学生を含む団体のものらしく、夕方に反省会をやっていた。団体様も夜は静かになり快適に寝ることができた。夜の白馬大池は満天の星空だった。

 翌朝は蓮華温泉に下るだけなのでのんびりしていても良かったが、自宅でのんびりする方が疲れが抜けるのでいつもどおり4時に出発。まだ暗いが明瞭な道が続くのでライトの明かりで問題なく歩ける。

 蓮華温泉への道は石がゴロゴロして非常に歩きにくい区間が長く続く。疲れた足でこれを下るのはきつそうだ。たぶんオーバーユースが原因だろう。樹林が開けると「天狗の庭」の標識が登場、背の低い天然のカラマツが生え岩が点在する日本庭園を思わせる風景だ。なぜかここだけは背の高い樹林がなく展望がいい。朝日岳には雲が絡んでいるが、今日も時間がたてば晴れるかな。

 さらに下ると早くも登りの登山者とすれ違う。この時間にここにいるということは出発は暗い時刻だったのだろう。先頭の登山者を合図に次々と登って来る。ほとんど同じ時刻に出発したのだろうか? 装備からして日帰りの人が大半だった。

 露天風呂への分岐近くに流れる小さな沢は僅かに暖かかった。この上部は源泉地帯である。さらに下って蓮華温泉の建物裏に飛び出す。まだ時刻は6時と早く、駐車所に出るとこれから出発するパーティーがいた。平日月曜日だが駐車場は半分くらい埋まっていて、人気コースであることがうかがえた。雲は多いものの雪倉岳も見えており、白馬岳は雲海の上かもしれない。

 今年初の幕営だったが日帰りに慣れた足では疲れた。でも未踏のイブリ山を稼げたからいいか。

 

山域別2000m峰リスト

 

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